エネルギーフィールド」の概念 と「神智学」

エネルギーフィールド」の概念 と「神智学」

FAQ詳細ページ:③ エネルギーフィールドの概念、どうしてそうなった?

~ 神智学とオカルトの系譜 ~

エネルギーフィールドの概念には、様々な語源を持つ言葉が混在していて、どうしてそうなった!?と、疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
それぞれの語源は、古代インドの思想(アートマ、ブッディ、チャクラなど)やヨーロッパの神秘主義・錬金術(エーテル、アストラルなど)、カバラ(ユダヤ神秘主義)などで、もともと別々の文脈で発展してきました。
オカルトは、一般的な科学や理性では説明できない、隠された知識や超自然的な現象を指す言葉です。
語源と本来の意味:語源はラテン語の occultus で、「隠されたもの」「秘密のもの」という意味です。
元々は、錬金術や占星術、カバラ、魔術といった、中世から近代にかけてヨーロッパで発展した秘教的な学問や実践を総称する言葉でした。これらは単なる迷信ではなく、宇宙や自然の法則、そして人間の内なる力を探求するための秘密の学問と見なされていました。これらが一つの体系として統合されたのは、以下によるものです。 ※ 画像はイメージです。


1. 神智学協会(Theosophical Society)設立の概要


 1875年、アメリカ・ニューヨークにて神智学協会は、東洋と西洋の古代の知恵を統合し、人類に秘められた霊的な真理を明らかにすることを目的として設立されました。この神智学の中で、彼らは様々な文献や自身の霊的体験をもとに、人間の存在を階層的なエネルギー体(サトルボディー)として説明する体系を構築しました。
・ 中心人物: ヘレナ・ブラヴァツキー夫人、ヘンリー・スティール・オルコット大佐、W・Q・ジャッジ、  チャールズ・W・レッドビータなど。

2. 設立の目的

🌟 神智学協会の目的(当初の理念)

神智学協会は次の3つの柱を掲げていました:

1. 人類の普遍的同胞愛の推進
人種・宗教・階級を超えた人類の一体性を説く。

2.東洋と西洋の宗教・哲学・科学の比較研究
ヨーガや仏教と、西洋オカルティズム・秘教を統合しようとした

3.人間の潜在的能力や自然界の隠された法則の探究
サトルボディ、チャクラ、アストラル界などの研究を進めた

3. 設立の社会的背景 

スピリチュアリズムの流行

  • 植民地支配を通じて、インドのヨーガ・仏教思想が西洋に流入
  • 科学では説明できない世界を探求する動きが広まっていた
  • 19世紀欧米で「心霊現象」「降霊会」が盛んに行われた

4. 東洋思想への関心

  • 植民地支配を通じて、インドのヨーガ・仏教思想が西洋に流入
  • 輪廻やカルマなどの概念が近代スピリチュアル思想と融合

5. 科学と宗教の対立

・ダーウィンの進化論により、キリスト教的世界観が動揺

・「人間の本質」や「死後の世界」を説明する新しい視点が求められた

6. サトルボディーとチャクラの体系化

  • 神智学協会は東洋思想と西洋オカルティズムを統合
  • インド由来のチャクラ思想を取り入れ、7つのチャクラを体系化
  • エーテル体、アストラル体、メンタル体、コーザル体などを整理
  • 人体を複数の微細な層からなる「サトルボディー」として説明
  • 「オーラ」や「エネルギーフィールド」の概念と結びつけ、複数のエネルギー体を階層化した

神智学は、人間の存在を以下の10の層に分け、それぞれに既存の言葉を当てはめました。

 * 肉体(Physical Body): 物質的な体。
 * 第1層:エーテル体(Etheric Body): インドのプラーナ体に相当。生命エネルギーや健康状態を反映。
 * 第2層:アストラル体(Astral Body): 感情や欲望を司る層。感情の乱れはここに色や形で現れる。
 * 第3層:メンタル体(Mental Body): 思考や理性、信念を司る層。
 * 第4層:コーザル体(Causal Body): カルマや個人の魂の歴史を記録する層。
 * 第5層:エーテリック・テンプレート体(Etheric Template Body)
     肉体の完全な“青写真(設計図)”とされる層。健康や肉体構造の理想形を保持している。
*第6層:アストラル・テンプレート体(Celestial Body)
  愛・慈悲・至福・スピリチュアルな感情を反映する層。高次の感情体。
* 第7層:ケトリック体(Ketheric Template Body / Causal Template Body)
  魂の最も高次の層。神聖な意識、宇宙意識とつながる領域。

神智学(Theosophy)やエソテリックな伝統では、その先に ブッディ体・アートマ体・モナド体 を含めて「より高次のサトルボディー」と説明する。

 * 第8層:ブッディ体(Buddhic Body): 霊的な直観や愛を司る層。
 * 第9層:アートマ体(Ātmic Body): 魂の最も高次の側面。モナドと直接つながる層。
 * 第10層:モナド体(Monadic Body / Monad):個人の魂を超えて宇宙全体の源(神性)と直に繋がる領域。

このように、神智学は「アートマ」や「ブッディ」といったインドの言葉と、「エーテル」や「アストラル」といった西洋の言葉を一つの体系にまとめ上げ、それぞれの役割を定義したのです。

⭐️参照:詳細を読む:オーラってなに? エネルギーフィールド 前編
⭐️参照:詳細を読む:ブッディ体ってなに? エネルギーフィールド 後編


7. チャクラとオーラの視覚化


チャールズ・W・レッドビータが著した『チャクラ』は、神智学の霊視能力者としての体験に基づき、チャクラの位置、色、回転方向、そしてオーラとの関係性を詳細に記述しました。これにより、もともとインドの修行者たちにしか知られていなかったチャクラの概念が、西洋の神秘主義コミュニティに広く知られるようになり、その後のニューエイジ運動へと繋がっていきます。


8. 現代への影響


 19世紀後半に整理された古代の哲学的・宗教的な概念は、近代の神秘主義運動の中で一つの体系として再解釈され、今日私たちが目にするような形で広まっていきました。西洋の神智学(Theosophy)やオカルト伝統では、「サトルボディー」は今も広く語られており、様々な学問・スピリチュアル分野に引き継がれ、現在では学術・実践の幅がさらに広がり、現代ヨガや瞑想、ヒーリング、ニューエイジ思想、代替医療の分野でも「微細身」「サトルボディー」の概念が広く影響を与え根強く支持されています。
科学が進んだ21世紀においても、生命の神秘、死後の世界、UFO・・・解明できない謎がたくさんあります。現代のオカルトは単なる迷信ではなく、人間の理性や科学が届かない領域を、別の方法で探求しようとする試みとして捉えることができます。

9.神智学の主要な人物

彼らの活動は、人の意識や存在の多次元性を探求する点で、後のスピリチュアルカウンセリングやトランスパーソナル心理学といった分野に間接的な影響を与えたと考えることもできます。彼らの主要な活動は、神智学という思想を通じて、人間に秘められた霊的な能力や宇宙の真理を探求し、それを世に広めることでした。

ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー夫人(Helena Petrovna Blavatsky)


生年月日: 1831年8月12日 – 1891年5月8日 
出身: ロシア帝国(現在のウクライナ) 
霊能者・神秘主義者: 幼少期から超常的な体験を持ち、世界各地を旅して様々な神秘主義の教えやオカルトの知識を学びました。彼女自身も霊視能力やテレパシーといった能力を持っていたとされています。
神智学協会の共同創設者: 1875年にヘンリー・スティール・オルコット大佐らと共に、ニューヨークで神智学協会を設立しました。彼女は、東洋と西洋の古代の知恵を統合し、隠された霊的真理を明らかにする「神智学」という思想体系を提唱しました。彼女は、特定の職業に就いていたわけではなく、自身の霊的な体験や研究に基づいて、新しい思想運動を立ち上げた「宗教家」「思想家」といった側面が強い人物です。
主要な著作: 『ヴェールを剥がされたイシス (Isis Unveiled)』や『シークレット・ドクトリン (The Secret Doctrine)』など、膨大な著作を通じて神智学の教義を広めました。これらの書物には、宇宙の成り立ち、人間の進化、隠された歴史など、広範なテーマが記されています。

チャールズ・ウェブスター・レッドビータ(Charles Webster Leadbeater)

生年月日: 1847年2月16日 – 1934年3月1日
出身: イギリス
レッドビータは、もともと英国国教会の聖職者でした。
聖職者から神智学へ: 彼はブラヴァツキー夫人の著作に感銘を受け、神智学に傾倒し、神智学協会に加入しました。その後、聖職者の職を辞し、神智学の普及活動に専念するようになります。
霊視能力者・神智学の解説者: ブラヴァツキー夫人と同様に優れた霊視能力を持っていたとされ、その能力を使ってアストラル界やメンタル界といった高次の世界、そしてチャクラやオーラについて詳細に記述しました。幽体 (Man, Visible and Invisible)』などがあり、彼の著作は、チャクラやオーラの概念を西洋に広く紹介し、その後のニューエイジ運動に大きな影響を与えました。レッドビータは、当初は聖職者でしたが、神智学に転向してからは「神智学の講師」「霊能者」「思想家」として活動しました。

10. 神智学から人智学 へ

ルドルフ・シュタイナーRudolf Steiner )

ルドルフ・シュタイナーは、もともと優れた霊的な直観力と科学的な知性を持っていた人物です。彼は神智学の教えに共感し、その思想を深く探求しました。

生年月日: 1861年2月27日 – 1925年3月30日
出身地: オーストリア=ハンガリー帝国、クラリェヴェツ(現在のクロアチア、クラリェヴェツ)彼は当時のオーストリア=ハンガリー帝国領内で生まれましたが、現在ではその地はクロアチアに位置しています。
神智学協会ドイツ支部の書記長: 1902年に神智学協会ドイツ支部の書記長に就任し、ドイツ語圏での神智学の普及に大きく貢献しました。彼はブラヴァツキー夫人の著作の解説や講演活動を積極的に行いました。
神智学からの独立と人智学の確立: シュタイナーは、神智学協会の方向性、特にクリシュナムルティを「世界の教師」とする動きや、ブラヴァツキー夫人の後継者とされるアニー・ベサントの神秘主義的なアプローチに対して疑問を抱くようになりました。
彼は、西洋の哲学や科学、キリスト教の伝統を重視し、より人間中心の霊的探求を追求すべきだと考えました。このため、1912年から1913年にかけて神智学協会から離脱し、自らの思想体系である「人智学(Anthroposophy)」を確立しました。
人智学の特徴:人智学は、神智学から派生しつつも、以下の点で独自性を持っています。
人間中心の霊性: 人間が自らの理性と霊的な直観を通じて、世界と自己の真理を探求できると強調します。
キリスト教的要素: キリストの存在と人類の進化におけるその役割を重視します。
実践への応用: 教育(ヴァルドルフ教育)、農業(バイオダイナミック農法)、医療(人智学医学)、芸術(オイリュトミー)など、多岐にわたる分野で具体的な実践体系を生み出しました。
まとめ:ルドルフ・シュタイナーは、ブラヴァツキー夫人よりも後の世代の人物であり、彼女が創設した神智学協会の中で活動を始めました。しかし、彼はその思想を独自に発展させ、最終的には神智学から独立して人智学を創始しました。彼もまた、哲学者、神秘主義者、霊能者、そして教育者といった側面を併せ持つ非常に多才な人物でした。

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